「 バイオリンの音 」 について音道楽 ( 追求 ) してみる・・・
バイオリンで音を奏でる時、色々な要素で、音色や演奏のしやすさが変わりますが、
その要素・状況を、少々考えてみると・・・
@ 演奏者の演奏技術
最も顕著に現われる要素ではありますが、あえてここでは追求しません!
また、以下の項目(要素は)演奏技術が同じてあることを前提に比較対象とします。
A 演奏者の体格や服装
人間には体脂肪率というものがあり、ざっくり言うと、太っている人もいれば、痩せている人もいる。
湿っていそうな体質、乾いていそうな体質の違い、個人差がある。
バイオリンは、楽器そのものが共鳴体であると共に、体の一部が接触している演奏者自身にもその共鳴は
少なからず音に影響をしていると思います。極端な言い方をすれば、演奏者も含めて楽器だと思います。
プロの演奏家を見ていても、音色が演奏者の体型に影響していると感じることが多々ある。
服装は、基本的に音を吸収する素材であるので、服装の違いで音への影響も、少なからずあります。
厚着をして音を演奏するのと、裸での演奏(することはないが)では、きっと違いがあると思います。
B 楽器
( バイオリン本体の性能 ) と調整 ( 駒・魂柱など )
楽器に値段のピンキリがあるように、音もピンキリあります。
木(メープル材)を主材料としているバイオリンは、素材の木の熟成度合(渇き方・枯れ度合)が最も音色に影響します。
表面のコーティング素材(膠)の違いも、単に見た目の美しさの為だけではありません。
一般的に、新品・新作物よりオールドタイプが珍重されるのは、それだけの理由・違いがあるからです。
また、一見同じように見える楽器でも、製作者や時代の流行で形(デザイン)が、様々ですし、
全く同じものは一つとして無く、一挺毎音色は固有であるといってもよいでしょう。
値段が付けられないほどの高価な、貴重で骨董価値もある芸術的な楽器も存在します。
ちなみに、音色とは 基音を中心とした同時に発音される無数の音の要素(異なる周波数)の集合体で成り立っています。
また、バイオリンは共鳴楽器である事は明らかですが、その要となるのは、
弦の振動を受け止める「駒」と 楽器内部にて音の振動を楽器全体に響かせる役目の
「魂柱」 です。
楽器本来の性能を引き出す鍵として 「駒」と
「魂柱」 のチューニング(位置調整)は欠かせません。
職人さんの調整次第で同じ楽器とは思えないほど劇的に良い音
( 響き ) になります。
C 弦の素材による違い
バイオリンには
4本の弦 ( E ,A ,D ,G )
があり、音の高低応じて、弦の太さが異なります。
適度かつ、ある程度の張力を維持して、調律します。
しかし、張力は原則自然に緩みますので、ピッチ(音程は)下がっていくことは避けられません。
ピッチ(音程)は、弦を指で押さえて振動有効長を調整することで無限に作れますので、たとえ弦が緩んだとしても、
開放弦(何も押えないで音を出す)さえしなければ、演奏には基本支障はありません。
もちろん、演奏者の耳(音感)と演奏技術にゆだねられます。
弦の伸縮率・振動の違いは、弦の素材によって大別されますが、現在、主流の弦素材としては3種類あり、
それぞれ特徴があり、音色や演奏し易さ、取扱管理に違いがあります。
ガット弦 / ナイロン弦 / スチール弦 の比較特徴・ 解説参考商品サイトはコチラ
D 弓の素材性能と張り方
弓本体は、本来木材でしたが、カーボンファイバー素材の安価で丈夫な商品も出回っています。
弓そのものの毛は、馬の尻尾の毛です。
弓の毛は、消耗品ですので、張り替えるなりのメンテナンスは必要です。張り替えは職人にお任せすることです。
演奏する際は、弓にある程度の張力を持たせて使用しますが、その張り度合いで、演奏のし易さ(弦との接触・反発)は
変化するので、演奏者の癖・体力そして楽曲あわせた弾き方に合うよう調節するとよいでしょう。
E 松脂による違い
弓そのものの毛は、馬の尻尾の毛なので本来サラサラです。
弦と接触しても、まともな音になりません。
そこで弓の毛部分に松脂を塗ることで、摩擦抵抗を増加させて音を発する(弾ける)ようにします。
松脂は、大した値段ではないアイテムですが、結構、演奏のしやすさを左右し、音の出方に影響します。
松脂の違いは、パウダーの粗さ加減と粘着度合いの違い・バランスであり、
接触抵抗(吸付き感・反発感)が変わるのを実感できます。
解説参考「松脂」商品サイトはコチラ
F 演奏場所の環境
楽器は演奏環境(温度・湿度)で変化します。ピッチの狂いやすさにも影響します。
音の伝搬は、会場(ホール)の建築音響要素と観客総数に大きく変化します。
音の反射と吸収のバランスといってしまえばそれだけですが。
音は高低(周波数の違い)によって、反射・吸収状況が異なりますので変化が複雑です。
また、音は空気中を伝搬するので、温度や湿度にも影響を受けます。
楽器毎の音色の違いは、構成する音の要素(周波数成分)の違いです。
多くの楽器で合奏すればするほど、音の要素は増加し、音色は厚みを増し、それに比例して
空間音響での音の伝搬・変化は無限に広がることでしょう。
風呂場での鼻歌が心地よい?ように、それなりの演奏も、素晴らしく聞こえてしまうホールもあったりして・・・
最終的には、演奏者の好みや演奏スタイル、演奏する楽曲の特徴に合わせることになると思います・・・
追求したらキリがありません!しかし、そこがアコースティックな音
( 楽器 ) の奥が深い、面白いところです。
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最終更新日 : 2013/07/04